要介護認定で損しないために。私が見落とした「判断材料」とは?

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「軽すぎた」母の認定結果に違和感

いろはな
いろはな

母の要介護認定、結果は「要支援2」。でも私の目には、とてもそんなレベルには見えませんでした。

最初の違和感は“電話に出ない日”から

母が電話に出なくなったのは、認知機能の低下がはっきりと現れ始めた頃だった。携帯も家の電話も、着信音に反応しないことが増えた。

そのたびに私は会社を早退して実家に向かった。「寝てただけよ」と言うけれど、食事の形跡もなく、ガスコンロの火がついたままだった日もある。

それでも本人が「ひとりで大丈夫」と言い張るため、いったん区切りとして要介護認定を申し込んだ。主治医の意見書も出し、訪問調査にも同席した。

ところが結果は「要支援2」。これまでよりも明らかに日常生活が崩れていたのに、前回の「要支援1」からたった1段階しか上がらなかった。

書類に目を通しても、日常生活動作の評価は「ほぼ自立」。でも、入浴も洗濯も、最近は一切できていない。これは本当に母の実態を反映しているのか?

申請は“受け身”ではなく“戦略”が必要だった

あとで知ったのは、要介護認定の仕組みが「申請者側の情報提供力」に大きく左右されるということだった。

調査員の質問に母は「できる」と答えていた。事実とは異なるけれど、「迷惑をかけたくない」という思いから、見栄を張ってしまったのだと思う。

私もその場にいたのに、適切にフォローできなかった。「洗濯物はたまったまま」「冷蔵庫に賞味期限切れの惣菜」など、日常の困りごとを具体的に伝えるべきだった。

後日、先輩ケアラーに「要介護認定は“情報戦”よ」と言われたとき、ようやく腑に落ちた。審査員は家庭のすべてを見てくれるわけではない。伝えなければ、分からないままスルーされる。

あのとき「もっと日常の困りごとを整理して、主治医にも細かく伝えておくべきだった」と、悔やんでも遅い。けれど、この経験が、次回の更新時には必ず生かされるはずだと気を引き締めた。

ケアマネの一言が教えてくれた「認定結果のカラクリ」

いろはな
いろはな

認定結果、やっぱり納得できなくて。本人の「できる」って答えがそのまま評価されちゃうんですか?

ケアマネ
ケアマネ

はい、調査員さんは“できるかどうか”を聞くだけなんです。安全に、継続して、それが毎日できているかは、基本的に評価の対象外です。

いろはな
いろはな

じゃあ、「料理はできますか」って聞かれて、「はい」って答えたら、それだけで自立って判断されちゃうんですか?

ケアマネ
ケアマネ

そうなんです。だから家族が“補足”してあげることが大事なんです。「コンロの火を止め忘れることがある」「包丁を持たせるのが不安」など、具体的な事例を伝えないと、実情が伝わりません。

「できるか」と「続けられるか」は違う

母が訪問調査で「できる」と答えたのは、まったくの嘘じゃない。たまに気が向けば、お味噌汁も作るし、洗濯機だって回す。

でも、それは“毎回できるわけじゃない”。体調や気分に大きく左右され、火の消し忘れ、洗濯物の干し忘れ、そういった“小さなズレ”が日常的に起きていた。

それでも制度上は「できる=自立」とカウントされることが多いらしい。だからこそ、認定結果と現実のギャップが生まれる。

家族が伝えるべき“補足情報”とは

ケアマネから教えてもらったのは、以下のような具体的な「補足の仕方」。

  • 洗濯機の操作は一人でできるが、干し忘れが週2回ある
  • 調理中に鍋を焦がしたことがあり、見守りが必要
  • 薬の飲み間違いが月に何度かあり、本人は気づいていない

こういった具体例があると、認定調査員の評価に影響しやすい。曖昧な「ちょっと不安です」ではなく、「何がどう困っているか」を明確に伝えることが大切なのだと痛感した。

「結果に不服があるなら不服申立てもできる」

もうひとつ驚いたのは、「認定結果に不服があれば、正式に申し立てができる」ということ。

私はてっきり「結果が出たらそれで終わり」だと思っていたけれど、ケアマネいわく「申請すれば再調査や見直しがされるケースもある」とのことだった。

ただし、申し立てにはしっかりとした根拠や日常の記録が必要になる。次回の更新時に備えて、私は母の様子をメモアプリで日々残しておくようにした。

訪問調査は“演技の場”じゃない

いろはな
いろはな

母、張り切っちゃってましたね……調査員の前では別人みたいでした。

ケアマネ
ケアマネ

ありますね、そういうこと。調査員が来る日だけ急に元気になる方、けっこう多いです。まるで“舞台”みたいに、気合いが入っちゃう。

いろはな
いろはな

普段はふらついてソファにつかまるのに、その日は玄関からスタスタ歩いちゃって。私が証明できなければ、認定が軽くなって当然ですね……。

ケアマネ
ケアマネ

そういう時こそ、家族の“日常の証言”が効くんです。普段の様子、危ないと感じたこと、転倒の頻度など、あなたしか伝えられない情報があります。

訪問調査では「良い姿」しか映らないことも

調査員が来た日は、母はやけに張り切っていた。髪をセットして、口紅までつけていた。いつもなら朝食も忘れるのに、その日はちゃんと食べて、言葉も滑らかだった。

「これが“普段”です」と言われたら、私の中で何かが崩れる。実際は、転倒もあるし、トイレまで間に合わず下着を汚す日だってある。なのに、その現実がなかったことになりそうで、焦りが込み上げた。

“良い顔”をしたがる親と、現実を伝えたい子ども

母は「できない」と思われるのが嫌なのだと思う。プライドもある。迷惑をかけたくないという気持ちもある。けれど、その姿勢が介護認定には裏目に出てしまう。

だから私は、調査員に対して以下のようなことをしっかり伝えるようにした。

  • 最近、階段を1人で降りられなくなった
  • 洗濯物を干したまま忘れることが増えた
  • 夜間のトイレ移動が危険で、ベッド脇にポータブルトイレを置いた

こういった“裏側”を補足することで、実態に近い認定が出やすくなる。調査員はあくまで一時的な様子しか見られない。日常の積み重ねは、家族の言葉でしか届けられないのだと実感した。

メモと動画で“事実”を記録する

その後、私は「証拠」として日々の気になる様子をメモに残すようにした。具体的には、以下のような方法を取り入れた。

  • スマホのメモ帳に「いつ/どこで/どう困ったか」を簡潔に記録
  • 安全に配慮したうえで、歩行や食事の様子を動画で撮影(本人の了解あり)

これらは、ケアマネや主治医にも共有して、プラン作成や診断の参考になっている。「言葉だけじゃ伝わらない」ことも、画像や数字にすると説得力が増す。

次回の認定更新では、こうした記録が役に立つはずだ。母のプライドを傷つけずに、必要な支援を得るための“備え”として、私はこれからも続けていくつもりだ。

“非該当”や軽い認定結果が出たときの対応

いろはな
いろはな

もし母が“非該当”だったらと思うと、正直ゾッとします。生活の見直しどころじゃないですよね。

ケアマネ
ケアマネ

そうですね。もし納得できない結果だった場合は、「区分変更申請」「不服申し立て」の制度を活用できます。あきらめずに“やり直す”道があることを知っておいてほしいです。

いろはな
いろはな

ケアマネさんがそう言ってくれて安心しました。結果がすべてじゃなく、見直す手段もあるんですね。

ケアマネ
ケアマネ

はい。その際も“記録”が重要になります。できるだけ客観的な情報をそろえて、再調査を申し出ましょう。

非該当や軽度認定でも諦めない

要介護認定には、どうしても“ばらつき”が出ることがある。訪問調査や主治医意見書の内容、さらには本人の体調や機嫌によっても印象が左右されやすい。

母も当初、思っていたより軽い「要支援1」の結果だったが、正直これでは支援が足りないと感じた。だからこそ私は、次の3つの制度を調べ、必要に応じて使えるよう準備しておいた。

  • 区分変更申請:状態が悪化した場合、6か月未満でも再申請できる
  • 不服申し立て:認定結果に納得がいかない場合、都道府県へ審査請求できる
  • 地域包括支援センターへの相談:制度の使い分けや地域サービスの案内を受けられる

“やり直し”に必要なのは「証拠」

制度を使う上で欠かせないのは「主張を裏づける客観的な記録」だと、ケアマネから教えてもらった。たとえば、以下のような情報があると再申請がスムーズに通りやすくなるという。

  • 転倒・失禁・徘徊などの具体的な事例と日付
  • 家族やヘルパーの介助が必要な頻度範囲
  • 医師の診断内容や生活機能の低下がわかる診断書

これらは「感情的に困っている」ではなく「事実として支援が必要」であることを伝える材料になる。私は、母の転倒記録や夜間の見守りの様子を簡単なメモにまとめ、次回の更新時に提出できるように準備を始めた。

手続きだけに振り回されないように

正直、認定のやり直しや申請書類の提出は手間がかかるし、精神的にも疲れる。けれど、「この結果のままでは生活が成り立たない」と感じるなら、声を上げることは間違っていない

そして、すべてを一人で抱え込む必要もない。ケアマネや地域包括支援センター、必要なら税理士や社労士などにも相談できる。制度は「使ってこそ価値がある」のだと、母の介護を通して私は学んだ。

更新のタイミングで再申請する場合の注意点

いろはな
いろはな

母の要介護認定がもうすぐ更新なんですが、前より明らかに手がかかるのに、前回の結果のままじゃ不安です。

ケアマネ
ケアマネ

更新申請は“これまでと同じ”が前提になることが多いので、状態が悪化しているなら事前にしっかり準備しておきましょう。再認定を確実に反映させるコツがありますよ。

いろはな
いろはな

はい。できるだけ正しく伝わるように、私も事前にやれることをやっておきたいです。

ケアマネ
ケアマネ

それなら“主治医への事前説明”と“できごとの記録”は必須です。調査だけでは見えにくい日常を、しっかり伝えていきましょう。

主治医に現状をしっかり伝える

要介護認定の結果に大きく影響する「主治医意見書」は、ケアマネや本人が介入できない部分。だからこそ、事前の情報共有が重要になる。

私は診察日の前に、母の生活状況や気になる変化をメモにまとめておき、診察室で医師に手渡した。たとえば「夜間のトイレ付き添いが毎日必要」「1日3回、食事を手伝っている」など、数字や頻度を明確にした。

主治医も「それは前回より進んでいますね」と言ってくれて、意見書にも反映してくれた様子だった。

訪問調査は“その日だけ良い”に注意

訪問調査では、普段より張り切ってしまう本人の姿に驚くこともある。母も調査員に「大丈夫、大丈夫よ」と笑顔で答え、私の補助を振り払ってしまった。

あとからケアマネに「今日は調子が良すぎたかもしれませんね」と言われて、私は慌てて“普段の様子”を補足資料にして提出した。

たとえば以下のような情報が役立つ:

  • 1週間分の行動記録(起床時間、食事、介助内容など)
  • 本人ができない・忘れてしまうことの具体例
  • 介助が必要な場面を写真で示す(可能な範囲で)

訪問調査員がどれだけ丁寧でも、数十分で全体を把握するのは難しい。日常の蓄積こそが、判断の精度を高める材料になると実感した。

「更新=継続」ではないことを意識

更新申請は、自動で前回と同じ区分が継続されるわけではない。たとえば「要介護1 → 要支援2」など、軽くなるケースもある。

この“逆戻り”を防ぐには、以下の2点が重要だ:

  • 状態が前回より悪化していることを具体的に示す
  • 前回の支援内容で足りていないことを伝える

私は申請書の「本人・家族の意見記入欄」に、できるだけ率直に書き込んだ。「介助が増えて、仕事との両立が難しくなっている」と記すことで、家族の負担も伝える材料になる。

面倒な手続きだけれど、丁寧に向き合えば、今後の支援内容にも影響する。だからこそ、更新時こそ慎重に準備する意味があると痛感している。

まとめ

初めての要介護認定で「なんだか軽すぎる」と違和感を持ったあの日から、私は少しずつ、制度の仕組みを学び始めました。最初はただ戸惑うばかりだったけれど、先輩ケアラーの何気ない一言や、ケアマネとのやりとりを通じて、「ちゃんと伝えること」の大切さに気づかされたのです。

認定調査の前に準備しておくべきこと、主治医にどう説明すればいいか、調査員が来たときに気をつけること――どれも、事前に知っていれば対処できることばかり。でも、情報がバラバラで、最初から分かっていたわけではありません。だからこそ、同じように悩んでいる方に、少しでも伝わればと思い、この記事を書きました。

介護は、「目の前のケア」だけでなく、「制度とのつきあい方」も含めて成り立っています。忙しさのなかで後回しにしがちな申請や確認こそ、あとで自分を助けてくれる大切な一歩になると、私は感じています。

完璧にやらなくてもいい。でも、自分の違和感に気づいたら、その気持ちを大切にして、少しずつ動き出してみてください。必要な支援が、きちんと届くように。私もこれからまた、一歩ずつ学びながら進んでいきます。

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